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おとしもの

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おとしもの、すなわちボツりもの。しかし、合計18曲もボツりものがあるとも思えません。

初心表明演説


肝心なことを伝え忘れた
何度言っても分かり合えない
言葉は万能となんとなく思ってる
言い訳無用の無期限有効のパスポート

くだらないと笑っておくれ 永遠なんて信じない
仕方ないなと笑っておくれ 疑うことで確かになる

15秒毎に切り替わるのは
テレビだけだと思い込んでた
身体は正直となんとなく思ってる
大袈裟な呼吸は支払い完了の領収書

くだらないと笑っておくれ 永遠なんて信じない
仕方ないなと笑っておくれ 裏切ることで確かになる

これはまさに愛であります
不確かな愛であります
言葉は何となく万能と思ってる
言い訳不要の無期限有効の督促状

くだらないと笑っておくれ 永遠なんて信じない
仕方ないなと笑っておくれ 僕の全部を受け止めよ
君の全部を受け止めよう 僕の全部を受け止めよ

桃園川


細くて長いから野球は出来ないけど
誰かが落とした王冠拾ってどこまでも
日が暮れる前に帰るには
あんまり遠くまでは行けない

これは川じゃない かつて川だった
そんな昔のことは知らない
これは川じゃない 名前だけ残る
桃園川を僕は知らない

環七越えるには信号待つか歩道橋
真っ直ぐ目指しても避けられない遠回り
君の部屋までは電車より
ここを歩いた方が早い

これは川じゃない かつて川だった
そんな昔のことは知らない
これは川じゃない 名前だけ残る
桃園川を僕は知らない

東の果てをゆく山手通りも越える
南北坂だからここは谷の底になる
道を極めて大人になる
知りたくもないことを知りながら

これは川じゃない かつて川だった
そんな昔のことは知らない
これは川じゃない 名前だけ残る
桃園川を僕は知らない

東京ゆえ


都会で暮らすことは
特別なことじゃない
好き好んで生まれたわけもない

週末の下り線
出来合いのリゾートに
好き好んで集まるわけもない

それでも僕らは
海が見たい空が見たい虹が見たい

もういいじゃないか
これが空の広さ深さ
それを感じられる君と感じられる
もういいじゃないか
ギターだってもういらない

夢中で過ごすことも
いいことばかりじゃない
見失ったものこそいとおしい

すなわち僕らは
青が見たい青が見たい色がみたい

もういいじゃないか
これが空の広さ深さ
それを感じられる君と感じられる
もういいじゃないか
独りよがりの夢なんて

都会に望む物は
永遠なんかじゃない
今日と明日と今夜を埋めること

もういいじゃないか
これが空の広さ深さ
それを感じられる君と感じられる
もういいじゃないか
ギターだってもういらない

ワタイさん


おかしなもので壁一つ隔てて
ワタイさんが住んでいるらしい
確か以前はワタナベさんだった
なんとなく名前が似ている

木綿の綿と井戸の井とあるから
ワタイさんと読んでみているが
まだ一度も呼びかけるチャンスなし

ワタイさんワタイさん
荷物預かってくれませんか

ワタイさんちの奥さんを見かけた
小柄細身見たところ近眼
見た目と年は最近不明瞭
僕より少し上か下くらい

個人情報保護法の成果
お隣さん何人暮らしかな
まだ一度も声を聞くチャンスなし

ワタイさんワタイさん
顔は知らない旦那さんと
バルコニーで同時に
煙草に火をつけた気がします

此処心の隅に


風は吹いてゆくのです
僕らには関わらず
ひとつところにとどまらず
僕らも生きている

たったひとつでいいじゃないか

人は床を掃き浄め
営みを手に入れる
それもこれも人任せじゃ
なくしてゆくばかり

たったひとつでいいじゃないか
心の隅の大事な場所

愛のレプリカ集めにかまけ
顔ばかり広くなり
愛の狭さ自分の狭さを知り
出戻り繰り返す

たったひとつでいいじゃないか
たったひとつでいいじゃないか
心の隅の大事な場所
心の隅で守る場所

枯淡カッフェ


きっと指を絡めたならば
その先は永遠と思ってた

いつもと同じ席に座るのは
君を信じた名残り
時代を停めたままのテーブルで
皆思い出になれる枯淡カッフェ

きっと指を絡めたならば
その先は永遠と思ってた

いつでもあの日になら戻れると
今日も呟く男
時代を停めたままのテーブルで
皆思い出になれる枯淡カッフェ

きっと指を絡めたときに
男の時計は停まっていた
きつく指を絡めてみても
女の時計はまわっていた

きっと指を絡めたならば
その先は永遠と思ってた

三日坊主


三日も続けて会うと
君をおぼえてしまいそう
知りたい会いたい抱きたい気持ち
口にし辛くなる 口にし辛くなる

慣れっこだもんね痛い気持ち
珍しくもなんともない
だけど今日いまこれから突然
君をうしなうのはこわい

だからこそ心のまま
迷わず会うのだけど

三日も続けて会うと
君をおぼえてしまいそう
知りたい会いたい抱きたい気持ち
口にし辛くなる 口にし辛くなる

初めてじゃないさこんな気持ち
あんまりにもよくあること
数を重ねて覚えたことだよ
秋は必ずやってくる

かといって賢くない
坊主でありたい気持ち

三日も続けて会うと
君をおぼえてしまいそう
知りたい会いたい抱きたい気持ち
口にし辛くなる 口にし辛くなる

ちずこ


趣味の違いって大したことじゃない
今まで別れた全員が言った
図書館でも本屋でも決して
そばには居ない好みが違うからね

趣味が似てるってこういうことなのか
俺達出会った駅前の本屋
入口からほど近いけれど
平積みはない静かないつもの場所

これを奇跡と呼んでいこう
諦めの秋冬春夏のあとだもの

ちずこ
名前の通りに素敵な女さ
ちずこ
一万分の一の旅を二人で続けよう

週末の雨で出かけられなくても
二人で揃って寝転んでいこう
一日かけて東京都区部の
境界線を確かめて歩こう

これを奇跡と呼んでいこう
諦めの秋冬春夏のあとだもの

ちずこ
方向音痴は必ず治るさ
ちずこ
ぐるぐる地図を回しながら二人で歩こう

指でなぞればそれだけでも
まだ知らぬ道橋坂川がみえてくる

ちずこ
名前の通りに素敵な女さ
ちずこ
一万分の一の旅を二人で続けよう

ひとり日和


昨晩のあのこの愚痴に
あてられちゃったみたい
目覚めても目覚めない
起き上がりたくもない

そうね一言くらいは
言ってあげれば良かったかな
たまには独りで泣いてみるのもいいよって

今日あたりは独りがいい
誰の誘いも袖にして
お昼休みの人通りを
見てるふりして何も見ないで

昨晩のあのこの愚痴に
あてられちゃったみたい
目覚めても目覚めない
起き上がりたくもない

そうね一言くらいは
言ってあげればよかったかな
たまには誰かに叱られるのもいいよって

今夜あたりは独りがいい
彼の誘いも袖にして
テレビの音も好きな人も
笑うふりには気づかないでしょう

心が疲れるのは心の使い過ぎ
笑いたいけど笑えない
笑顔の使い過ぎ

今夜あたりは独りがいい
いつも会いたい人にさえ
会いたくないと呟いては
これでいいのとこれでいいよと

空蝉橋


新聞のニュースを拾い読み
知らなくてもいいけど知ってた方がいいと
いつ気がついたんだっけ

明日の天気が気になって
夕焼けを確かめに
ここまで走った秋があった

今夜も少し回り道をして空蝉橋を渡ろう

いまどきはニュースもメールで受信
言われるまでもないが言ってみたいんだろ う
すべてが無駄でもいいや

あの子の予定が気になって
それだけが知りたくて
駅まで走った秋があった

今夜も少し回り道をして空蝉橋を渡ろう

橋の下には川があるものと
思ってた信じてた
電車が走っていたなんて

今夜も少し回り道をして
今夜も少し回り道をして
空蝉橋を渡ろう

きづき


いい加減認めてみてはいかがでしょうか
僕たちは出会うべくしてであったのです

後に語らうなれそめとしては
そう悪くない気がします

一時間の間に選ぶ偶然は十に一つ
十両編成から選ぶ偶然は十に一つ

いい加減認めてみてはいかがでしょうか
僕たちは出会うべくして出会ったのです

心惑わす言葉尻どころか
まだ挨拶もないなんて

一週間続けて選ぶ偶然はどれほどでしょう
二週間続けて選ぶ必然はどれほどでしょう

十日に一度あった寝坊もなくなり幾年月か
十日に一度きりの恋人よりもきっときっと

いい加減認めてみてはいかがでしょうか
偶然に気づいたらもう運命なのです

雨の所為


雨が降ると少し電車は混むが
今年は冬でも雨が降る
この人たち普段は
電車には乗らないの
僕らの間には人が多すぎる

雨のせい 雨の所為

傘の分だけ近づけないのは
恋人たちの悩みのたね
この人たちの傘は
隙間を作るから
僕らを直線で結ぶ時がある

雨のせい 雨の所為

雨が降ると少しダイヤが乱れ
僕らの時間も延びてゆく
会社への遅刻は
ありがたい焦らない
大事なものとはともにする時間

雨のせい 雨の所為

人のふり見てなんとやら


ポジション争いに疲れたよ
今朝は敢て別の場所にする
よくあることだろう こういう日には
電車が何故か空いている

彼女はいつものポジションに
僕は敢て知らぬふりをして
いつかのあいつも戸惑いながら
今朝は彼女と向かい合う

ため息こぼして僕は彼女を諦める
いつまで一体こんな関係続けるの

欠伸を過ごしたついでに
ちらと僕があっちを見る度に
あいつは彼女ばかり見ていて
周りは誰もが気がついている

彼女はいつものポジションで
窓に鼻をぶつけるように
あいつの視線は背で受け流し
避けるように眠ってる

ため息まじりに僕は彼女を諦める
誰から見たって僕もあいつと同じさ

彼女はいつものポジションで
僕の方を一度だけ見てた
思えば彼女の背を見たことは
ただの一度もなかったっけ

ひとつの違いを僕は救いと感じよう
何処から見たって大差ないからこそ違う
或いは彼女はもしかしたらと感じよう
自分の為にも人のふり見てなんとやら

杞憂


たとえ思い違いにしてもこの距離を保つ為に
そろそろ息抜きも必要かといつもの電車をやめてみた

毎朝のように向かい合って目を合わせないで過ごす
いわゆる気まずさも出て来たのかいつもの電車をやめてみた

僕の場合一つ遅らせても遅刻しないことに
気がついたし

ああどうして会ってはならないの
何一つも互いにおかさない
顔を見ずに過ぎて行くのが辛い
これを切ないというのか

たとえ思い込みだとしてもいくらかは君も同じ
冷房しのぎのカーディガンを羽織って次に僕を見た

たとえ結ばれないとしてもこの距離は保ちたいと
仕事に追われると思うんだいつもの電車に乗れない日

君の場合一つ乗り遅れたら遅刻になるような気がして来た

ああどうして会ってはならないの
何一つも互いにおかさない
顔を見ずに始まって行く朝よ
これを切ないというのか

僕の場合君を逃したら人生も変わって行く気がするんだ

ああどうして会ってはならないの
何一つも互いにおかさない
君の何も確かめられなくて
これを切ないというのか

車両故障


あの時電車が停まり
遅刻は決定的に
呆然乗客の隙間
僕らは見つめ合った

やり直しはきかない
人生は一度きり
有名どころの台詞が
今僕の中を巡る

おそらく君と会うことはもうない
そういう別れも重ねて来たから

突然電車を降りて
君はどうしたんだろう
例えばタクシー捕まえて
あいのり出来たのかも

やり直しはきかない
人生は一度きり
有名どころの台詞が
今僕の中を巡る

おそらく君と会うことはもうない
これほど確かなことはないのかも

やり直しはきかない
人生は一度きり
あの時の僕もそれくらい分かってた
分かってた

おそらく君と会うことはもうない
これほど分かっていたのに
またやってしまった

あねか


似ているんだ電車を待つ姿が
僕は目を見張った何度も
違うところと言えば、遠目に見た髪型

そんなことってあるのかな
見間違えるほど似た人が
同じ駅の同じホームで僕を待つ
僕を待つわけじゃないとして
少し猫背で風に吹かれ
同じ駅の同じホームの壱両目

似ているんだ膝の揃え方が
僕は目をこすった本当に
違うところと言えば髪をいじる頻度

そんなことってあるのかな
見間違えるほど似た人が
同じ駅の同じホームで僕を待つ
僕を待つわけじゃないとして
少し猫背で風に吹かれ
同じ駅の同じホームの壱両目

あの頃よりやつれてしまったのか
僕は目をつぶったしばらく
もしかしたらいくらか年上かも知れない

そんなことってあるのかな
見間違えるほど似た人が
同じ駅の同じホームで僕を待つ
僕を待つわけじゃないとして
少し猫背で風に吹かれ
同じ駅の同じホームの壱両目

改正時刻表


時間通りに電車を動かすのも難しい
あれから最初のダイヤ改正

前後左右僕は習慣を捨てて
混み合った電車にも乗ってみた
君が乗って来たあの駅あの場所を
しばらくは目を細めうかがった

今はどこに住んでいるのかな
勤め先をかえちゃったのかな
それとも

思い通りに自分を動かすのも難しい
あれから会社も遅刻気味

最早半年僕は習慣をかえて
前から二両目に乗っている
君の様に時間を決める人と
出会えたらそれもいいそうしよう

今はどこに住んでいるのかな
勤め先をかえちゃったのかな
それとも

同じ電車の同じ車両に乗って
同じところで僕と向かい合う
君ほどの人君くらいの人どころか
同じ人と毎日は出会わない

思い通りに自分を動かすのも難しい
改正時刻表 まだ慣れないよ

変わらない男


何もかも変えようとしてみた
君を見失ったあの日から
それなりの楽しみも見つけて
君を忘れ去った気でもいた

本当に時間だけが過ぎた
風も吹かず波も立たず
雨さえ降らなかった気がする

こうして再び会えること ひそかにずっと信じていた
何食わぬ顔で

何よりも今こそが大切
呪文唱えながら前を向き
頑張らずかといっていじけず
君を忘れ去った気でもいた

あれから時間だけが過ぎた
風も吹かず波も立たず
雨さえ降らなかった気がする

こうして再び出会えたから 明日もきっと信じられる
今度こそ君を

通勤の電車での出来事
誰も信じてくれなかったけど
明日にも確かめてみせよう
君いったいあれからどこにいた

明らかに時間だけが過ぎた
風も吹かず波も立たず
雨さえ降らなかった気がする

こうして再び会えること ひそかにずっと信じていた
何食わぬ顔で

Information

型番:A114
発売:2011年 11月
価格:¥2,096

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当時の言

2011年リリース。

ライブ活動は、「今」を歌わなければ意味がないと、作り続けていた日々。

だからボツになってしまう歌たちが、どうしたってあるもの。

そんな歌たちばかりを、拾い集めてみました。

附録は、「はじまらない物語」外伝としての8曲。合計18曲。

ご挨拶

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