シンガーソングライター石村吹雪オフィシャルサイト

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その場ちがい梓

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善人のくに


悪い人だな話半分で
甲か乙かも決めつけるなんて
悪い人だな自分の目鼻で
善いか悪いか決めないだなんて

善い人を捜しに行こう
生まれ変わりに行こう

悪い人だな気持ち半分で
頷いておいてなかったことにする
悪い人だなその場の空気で
持ち上げておいて知らぬふりをする

善い人を捜しに行こう
流星を見に行こう

悪い人だな配られたような
正義の仮面に気づかないなんて
悪い人だな乗った尻馬の
期待はずれを詰るだけなんて

善い人を捜しに行こう
生まれ変わりに行こう

悪い人だな選んだ大きな
木陰でさらに傘をさすなんて
悪い人だな意味のありそうで
あまりない歌をありそうに歌う

日曜挽歌


今日もあさはらしんどいな 日本の瓦斯はしんどいな
色も臭いもない毒 吸わそうと 弟子騙すのもしんどいな

たいしたもんじゃないの 10も20も子供がいたら
でも今時代革命なんて 反社会派 反体制派

たいしたもんじゃないの 100も1000も信者がいたら
僕などコタンでせいぜい 10人か20人か

えぇい どおでもいいけど
朝八時の電車にはニンニク食べたら乗るんじゃないっ
朝八時の電車には死にたくなくても乗りたかない

今日もあさはらしんどいな 檻の暮らしもしんどいな
色もメロンもお札も拝めない これは死ぬまでしんどいわ

最後の一杯


最後の牛丼の残りの一口が
どうしてもなんとなく食べられず

関係ない関係ないアメリカなんか関係ない
行くことない行きたくない英単語なんて大嫌い

安けりゃいい早けりゃいい牛丼屋なんかどれでもいい
ニュースなどおぼえてないどおせ俺には関係ない

カメラとマイクが狙ってる俺は
いつものようにナミネギヌキタマゴ

これで最後ですと化粧をした店員
何を言う俺はまた明日もくるぞ

そういえば牛丼は牛で出来てるそうだった
そういえばヘタレ牛元気な牛はもういない

カメラとマイクが怒ってる俺を
ネギ抜きでは絵にならないんだと

最後の牛丼と言われて気がついた歴史的瞬間の俺が主役か

待っていたカメラには堂々と俺はこう言った
もう二度と牛丼が食えないなんて残念です

カメラとマイクが笑ってる俺のカメラ目線はちとやりすぎたかな

俺は気が付いた世界の端っこが今まさにここにあるそのことに
最後の牛丼の残りの一口がどうしてもなんとなく食べられず

馬鹿試合


先頭打者が打ちました
強打者を歩かせました
戦うとはどういうことなのか
一回表です 2ー0

なべて投手の立ち上がり
不安なものだと言いますが
まさかとは思いましたが
一回裏でした 2ー2

いやな気配

遅れてきたお客さんは
勝ち越し打に湧きます
彼らは気配に気づいていません
二回表です 4ー2

気の抜けた四球が出れば
一打同点も夢に見える
誰もがまだ勝てると思っている
二回裏でした 4ー2

二打席連続ホームランに
敵ながら拍手を送ります
早くも帰るお客さんもいます
三回表です 7ー2

これが野球の試合ですか
早くもバカゲームの予感
いやな気配

野球は気配のゲームです
スコアを見ても納得ですが
三球三者凡退とはいかにも
三回裏でした 7ー2

敗色濃厚

早くも中だるみのようです
内野席でもちちくってます
スタンドもベンチもお休み
四回裏でした 7ー2

三人目の投手ともなると、
諦めたのかとさえ思いますね
二死満塁外人三振
5回裏でした 7ー2

仕事とはいえ厳しいですね
残業代など出ないのでしょう
これが野球の試合ですか
早くもバカゲームの予感
いやな気配

明日があるさと口笛吹いて
肩を落とした降板投手
心は一つにならないものです
6回表です 11ー2

ああ小笠原は打ったのに
監督は諦めてしまいましたか
途中交代見所半減でしょうか
6回裏でした 11ー5

これが野球の試合ですか
終わらないのがバカゲーム

まだ終わらない試合です
敵はダメを押した気分です
流石にまだまだとも言い疲れました
7回表です 13ー5

明日があるから早く寝よう
そんなことは考えないのです
振ったら当たったの連続幸運
7回裏でした 13ー10

なんと言っても勝負の世界です
負けるわけには行かないのです
息の根を止める3打席連続歩無欄
8回表です 14ー10

夢見せる代打者が気を吐けば
打つかも知れないという気になりますが
大抵確率は三割以下なんです
8回裏でした 14ー10

敵にはまだ代打の切り札がいました
まだまだお互い勝つ気のようです
延長戦まで付き合えるかどうか
9回表です 14ー10

諦めない気持ちは大切です
ここで打つと執念を讃えられます
こんなところでだけ打つ人もいます
9回裏でした 14ー11

あ。終わった。終わったようです
終わりそうもないから馬鹿試合
ついつい付き合ってバカをみます
気がつけば負けていた馬鹿試合
終わって良かった
負けても良かった

九月の蚊


部屋の中
飛ばないか
疲れたか
眠いのか
痒いのか
九月の蚊

袖の中
歩くのか
休むのか
寒いのか
居たいのか
九月の蚊

台風か
逃げないか
夏最中
嫌ったが
いないのか
九月の蚊

夕焼け


夕焼け空が堂々と広がり すれ違いの人は皆楽しそうで
明日のことなど今日のことなど話したりしているのでしょう

メールも来ない 電話も来ない すれ違いの人は皆楽しそうで
雲を見上げて口を開けば 掠れた息だけがこぼれてきます

手相見でもいい セールスでもいい 宗教の誘いでも構わない
今日に限っていつも面倒な 道を尋ねる人にも出会わない

ああ 誰でもいいから話したいのでしょう
まちかどの においがあの日のようですから

夕焼け空は堂々と広がり 予定のない人が皆淋しそうで
明日のことなど 今日のことなど 話したりしてみたいのでしょう

二人の秘密


僕らの大事な時間を挙げてみれば
僕らの外には誰も知らないこと
歌にも出来ないことなのでしょう
誰かに聴かせて赤面しましょう
全ては語れない二人の秘密

冒険


音もなく季節は変わって行った
声もなく僕らは離れて行った
ねぇ誰もそれを証明したり
或いは責めたりもしないでしょう
言葉にすれば怖くなるのは何故
冒険をして帰る道のりをひとり

風のない夜に窓を開ける
胸にはただ静かな美しい記憶
ぁあ誰もそれに同情したり
或いは笑ったりしないでしょう
言葉にすれば怖くなるのは何故
冒険をした後のしばらくはひとり

激情のロビーで難く見つめ合い
非情階段で不覚繋ぎ合った
ぁあ誰もそれを証明したり
或いは責めたりもしないでしょう
言葉にすれば怖くなるのは何故
冒険をして帰る道のりをひとり

五月雨


例えばあなたに何でも話せる
素敵な友達がいたとしても
私のことは黙っていてね
そうでなきゃ素直にならない

雨降る午後に待ちぼうけ
そのまま夜になった日がありました

今あなたが何でも話せよと
優しく叱ってくれたとしても
雨が降るから風が重いから
そうとしか言葉にならない

雨降る夜に待ちぼうけ
そのまま朝になった日がありました

時間に吹かれて乾いていたものが
忘れていた筈のいろいろが
雨に濡れて戻ったのかな
それさえも言葉に出来ない

例えばあなたに何でも話せる
素敵な友達がいたとしても
五月雨雨があがるのを待ってね
それまでは上手く笑えない

あなたの知らない現実


あの日あの場所を忘れないで
あの町あの人を重ねていって
あの顔あの嫌味あの台詞
あの出会いあの別れあの男

何故すぎたことをいつまでも 楽しくもないのに と
とってもあけすけに言ったとき 確かな年の差を感じました

あの日あの場所を忘れないで
あの町あの人を忘れないでいて
僕が諄いほど言っていた
記憶の不思議と出会うはず

何故現実ばかり歌うのよ 夢のない人ねと と
とっても訳知りに言ったのは幾つも年下のあなたでした

あの日あの場所を忘れないで
あの町あの人を重ねていって
あの顔あの嫌味あの台詞
あの出会いあの別れあの男あの女

今この目の前で笑う誰か
今この目の前で泣く誰かが
いずれ僕を造るすべてのもので
それが僕の愛すべき現実

まちあわせ


護国寺で午後九時
ここで笑ってくれないと
僕の話は先へ進まないんだ
だから、ねぇ笑って

正門で待ち合わせしよう
地下鉄の出口もそばだから
不忍通りを時計回りに
歩き始めよう

最初の角を左折しよう
細くて暗くてこわいかな
僕がそばにいるから大丈夫
君は思うはず

護国寺で午後九時
ここで笑ってくれないと
僕の話は先へ進まないんだ
だから、ねぇ笑って


ここは昔川だったんだ
どの家も玄関は向こう側
そんな話がちょうど終われば
僕の部屋がある

護国寺で午後九時
ここで笑ってくれないと
僕の話は先へ進まないんだ
だから、ねぇ笑って

大通り


口ずさむ歌も凍る2月の青梅街道
下り車線を指さして笑う君をみてた

おそらく君は冬がきらい
口にしなくてもわかる

大通りはいいね車が飛ばすから
声が聞こえないからずっとそばにいられる

吐く息も声も凍る2月の明治通り
考え事をしてるのか黙る君をみてた

おそらく君は冬がきらい
口にしなくてもわかる

大通りはいいね歩道も広いから
変質者の目を避けてずっとそばにいられる

冗談も洒落も凍る2月の市場通り
返す言葉も見つからず黙る君をみてた

おそらく君は冬がきらい
何もしなくてもわかる

狭い道もいいね水たまりもいいね
優しそうなふりしてずっとそばにいられる

ソファ


僕の夢を これから話すよ
笑うのはかまわない
かまわないけど ちゃんときいてね

昼寝の床は畳の四畳半
弟とふたり部屋
のどかな香りに寝息をたてていた

でもねパパがカメラマンの友達の家には
もっとやわらかな
テレビでしか見たことのないものがあって

いいなぁソファ いいなぁソファ
友だちがトイレにいるすきに 僕は思いきり寝ころんでみた

いつかはうちにもソファが来る日があるんじゃないかな
かすかに願って ひと晩で忘れていた


ないものねだりは 子供のやること
女の子でねむるのが
一番だと思っていた頃は

あのね パパが外交官の彼女の家でも
僕は有頂天
彼女を抱き寄せることも忘れてしまった

いいなぁソファ いいなぁソファ
あの夜で彼女を逃してしまい 代わりにゆずれない夢が生まれた

いいなぁソファ いいなぁソファ
僕たちがいっしょになるときは 絶対ベッドより先に買うからね

コーチ


血の滲むような研鑽や
死にものぐるいの精進と
縁もゆかりもない身ですが
 今更ながら憧れてしまいます

血の凍るような限界と
目も眩むような絶望を
あなたは御存知なのですね
 今更ながら憧れてしまいます

コーチコーチ あなたの技は
磨き続けられても
決して決して陽はあたらない
それでも続けるのは何故

身のすくむような敗北を
言葉に出来ない身の程を
あなたは御存知なのですね
 今更ながら憧れてしまいます

コーチコーチ あなたの技は
磨き続けられても
決して二度と陽はあたらない
それでも走り続ける

コーチコーチ あなたの旬は
とおに過ぎ去りし日々
コーチコーチ
あなたの汗で私はやり直せるかも

初春


年が明けたところで何が変わるわけじゃない
カレンダーを破るまで気づかないこともある

いつもの仲間の中で異を唱えたとき
新しい季節が始まった

暦通りには生きられず正月の大掃除
思い通りにも生きられず繰り越し続きの夢

誕生日が来たから何が変わるわけじゃない
定期券の更新まで気づかないこともある

一昨年流行りの靴をまた磨いた夜
新しい季節が始まった

暦通りには生きられず八月の大掃除
思い通りにも生きられず繰り越し続きの夢

いつもの新年会の誘いを断り
新しい自分が始まった

暦通りにはままならずそれでも今日から春
当たり前にも生きられずそれでも今日から春

無残の国


もちつもたれて繰り暦
風の彼方に置き土産
うたも心も永久の
忘れ形見となりにけり
ああ時間よとまれ または私よとまれ
移ろうものに囲まれて
火照った指で何残す

一夜明ければ泰平の
時計仕掛けの旋風
明けてしばしの日の本で
夢は屍となりにけり
ああ時間よとまれ または私よとまれ
濡れ手に粟に憧れて
一夜の夢を酔い潰す

模して絡げて散々に
消えた費えたし尽くした
積もる塵まで敷き詰めて
無残の国となりにけり
ああ暮れては明けて そして明けては暮れる
増えて殖やして余らせて
無残の国となりにけり
涸れてはたいて冬枯れて
無残の国となりにけり

裸の私


間違いだらけの人なのに
誰かを一度は頷かせたくて
いくつかいくつか嘘を纏い
それらしくそれらしく見えてますか

私の声は聞こえてますか

鏡も見ないで服を着るから
裸の自分も暫く見ていない
毎月毎月買い足して
それらしくそれらしく見えてますか

私の声は聞こえてますか
あなたの声を聞かせて欲しい

私の声は聞こえてますか
あなたの声も聞かせて欲しい

Information

型番:PMCD-IF21
発売:2005年 09月
価格:¥1,000

SHOP

 完  売 

ジャケット デザインはTOMO工房さま

2005年10月9日、当時の弁。

 その場ちがい、という思いつきから一年。4枚組にしようと思ったものの、前作から時間がかかってしまいました。何ゆえかと言えば、本当に、今回収録の作品は、その場かぎり、その場しのぎ、であったからというのが一番の理由です。つまり、これこそが、その場ちがいであると、言えるわけです。
 それまでの三枚は、なんとなーく、今でも歌っている歌をちりばめてありました。しかし、今回は、かなりのその場かぎり感があります。どれくらいかと言えば、自分でも思い出すのに時間がかかったうたがあったこと。或いは、当時の作りのいい加減さに自分自身が呆れ、改めて手を加えてみたりしたものもあることに、あらわれています。
 なにがその場ちがいだよ、誰が喜ぶかねそんなことに頑張ってみた所で、と実際自分の頑固さに呆れてしまった時期もありました。しかし、完遂することにこそ、意義があるのです。ふぅ。作り終えた今、なんとなくではありますが、充実感があります。この充実感を味わって頂ければ、幸いです。
 また、予定の20曲がなんとCDには収まり切らないことが分かったどころか、18曲でもぎりぎりで、その場ちがい最終章の場面は収まり切らないことになってしまいました。CD特典のページにてお楽しみ頂ければと思います。

 特典のページは、現在、ございません。

ご挨拶

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