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遮断機のあるまち

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人生は遺恨の歴史。「前にすすむ」ために、忘れたことにしていくばかり。届いていると思い込み、いつまでも届くことのないおもい。そして決して癒えることのない、要らなくなった思い出。一歩でも十歩でもすすめる時、僕らはとてもクール。

遮断機のあるまち


踏切のある街に君は住んでいてこのあたりじゃもう珍しいねと僕は言う
東京じゃ信号ももどかしいんだ

急ぐなら回れと回り道をしたら君とはぐれてしまいそうで立ち尽くす
君の部屋はもうすぐそばにあるんだ

あぁ何処でおぼえてきたんだろう
またねのひとことの裏側に底のない不安をひろげてしまう
あぁ何度誓いあっただろう
同じ事を言ってきただろうにあてのない明日を感じてしまう

毎日も毎晩も電話をしてみていくら話しても足りない気がしてた
最後には必ずまたねと言いあった

あぁ何処でおぼえてきたんだろう
またねのひとことの裏側に底のない不安をひろげてしまう
何処でおぼえてきたんだろう
ありがとうという言葉にさえあてのない明日を感じてしまう

環八にトンネルが出来て便利だとあの日ももどかしいことばかり言っていた
君の部屋への近道でもないんだ

あぁ言葉通り文字どおりに
伝えられたらいいのにね分かってくれたらいいのにね
生まれた街も年も違う
遮断機は今またおりてくる分かってあげればいいのにね

あぁ何処でおぼえてきたんだろう
またねのひとことの裏側に底のない不安をひろげてしまう
あぁ何度誓いあっただろう
同じ事を言ってきただろうにあてのない明日を感じてしまう

散歩道


暑中見舞いは届いたから
君はどこかで生きている
特に何も言うことはない
君は確かに生きている

大きな蜜柑を指さした
君とあの夏歩いてた
神社で木の実を拾ってた
君と毎日歩いてた

あああの道をもう君とは歩くことがない
もうこの道をとは呼ばない時間を過ごしてる

時は流れていくのでしょう
あることないこと良いこと良くないことも
同じように巻きとって
いずれ落ちていく夕陽のように
いつまでどこまで変わらないことのように
それはそれは確かなこと

時には雨に濡れながら
時には言葉ふさぎながら
時には石を蹴りながら
時には言葉を失った

いつまで続くか分からない
何処まで続くと知り得ない
誰より近くに感じてた
何処より二人のものだった

あああの道をもう二人で歩くことはない
もうこの道をとは呼ばない道路を選んでる

時は流れていくのでしょう
二人は一人で新たな記憶にまみれ
散歩道を替えていく
いずれ反古になる約束よりも
今夜や明日が何よりかけがえなくて
散歩道は変わっていく

歩く道が

あああの道をもう二人で歩くことはない
もうこの道をとは呼ばない道路を選んでる

時は流れていくのでしょう
二人は一人で新たな記憶にまみれ
散歩道を替えていく
今に過去になる出来事よりも
今夜や明日が何よりかけがえなくて
散歩道は変わっていく

歩く道が

見晴坂


見晴坂を登ると新宿が近いとわかる
君が笑うのを初めて見た
見晴坂を下ると新宿は見えなくなる
見当をつけて歩いてみた
今夜もあの道を登り
明日にはあの道を下り
君は登って下って生きていく

坂の途中で目についた
間抜けな一時停止標識がこの僕

土砂降り雨をのんでいるあれ神田川と言えば
得意顔で違うよと言う
見晴坂を転がる空き缶ゴミを追いかけて
思いの外に君はよく笑う
何度も繰り返すことで
何を覚えていくのと
君は笑って泣いてまた笑う

俯き加減で気がついた
止まれのはげかけた文字がこの僕

今夜君はどこで笑う
何を見ては誰と笑う

見晴坂を下って新宿へは電車で行く
君が笑うのも見納めの夜
今夜もあの道を登り
明日にはあの道を下り
君は登って下って生きていく

坂の途中で目に付いた
間抜けな一時停止標識がこの僕
俯き加減できがついた
止まれのはげかけた文字がこの僕

さらわれた秋桜


幾つも傷を背負ってきたつもりで
叶うことも適わぬ事も
少しは分かった気で出会った25の春

悲しい顔を辞めて歩いてみたら
思いの外に期待以上の
誰かに出会ったりすることも分かった

君がどこかからさらってきた秋桜の花を
はたして僕はもう一度見られるのだろうか

君は忘れるのでしょう 一晩もあれば
男は黙って忘れられない夜を頼りに生きる

光にあてて水をあげるばかりか
祈ることもあっても良いと
少しは分かった気で過ぎた25の秋

嬉しい顔を一度さらしてみたら
今にも歴代一番の
誰かに出会えたりすることも分かった

君がどこかからさらってきた秋桜の花を
はたして僕はもう一度見られるのだろうか

君は忘れるのでしょう 一晩もあれば
女は決まって忘れさせてくれる誰かと出会うから

君がどこかからさらってきた秋桜の花と
はたして僕はどれくらい違うのだろうか

君は忘れるのでしょう 一晩もあれば
それなら今は忘れられない男になっていよう

はじめての冬


なんとか2月までつなぎとめておきたくて
春には秋の夏には冬の約束をした
今年は予報より寒い日が続いているのに
なかなか僕らが会う日に雪が降らない

これほど冬が好きだと言ってきた
それを証明したいのに

春に出会った僕らの初めての冬

冬には君はどんな服を着るのかな
衿に首を沈めて猫背になるのかな
セーターの下には君は何を着るのかな
靴下だけ履いたままベッドに潜るのかな

知らない君に会える気がするから
ずっと待っていたんだよ

春に出会った僕らの初めての冬

念願叶って雪が降ったら外で待ち合わせしよう
いつもは澱んで見える環七も真っ白なんだから

春に出会った僕らの初めての冬
明日に決まった僕らの初めての冬

一番だるま


目覚めたらそんな気がした
布団にきつく巻かれて
カーテンの隙間に目を凝らせば

去年は確か一度も積もらなかったはずだから
段ボール箱からウェアを出して

東京は雪に弱いと型どおりテレビは言うでしょ。

一番だるまをつくりに 僕らは走り出したんだ

誰にも邪魔されないで土を絡めないように
きれいに出来た 誇らしいね

僕らの作品を目指して一日だるま村ができるよきっと
おなかすいたね。

「内股で滑らないように」つまらないテレビは言うでしょ。

ラーメン丼も出したままコタツで昼寝になった

子供らが来ない公園夕方もじきに すぎる

一番だるまは ぽつり 待ちくたびれた顔をして

試験よりずっと楽しいことだから大人は教えない

東京の明日の空は きれいに溶かしてしまうだろう
僕らはそれを知っていた 僕らも大人だから

送信願


送信してくれよ
なんでもいいからさ
今生きているということだけでも
教えてくれよ

世界のどうでもいい殺人事件は
毎日飛び込んでくるのに
君のニュース近況最新情報は
待っていてもやってこない

送信してくれよ
リアルタイムでさ
今忙しいなんてことだけでも
教えてくれよ

全国のどうでもいい気象情報は
どんどん飛び込んでくるのに
お天気屋の君の最新情報は
待っていてもやってこない

送信してくれよ
なんでもいいからさ
今朝たてたおうかがいに
こたえてくれよ

俺が暇なのか 俺は暇なのか
でも俺のために親指さえ動かさないなんて許さない

心此処にない 心此処にない 心此処にない 心此処にない

送信してくれよ
顔文字つきでさ
今日今すぐ会いたいなんてことは
言わないからさ

ヴィオスガーデン城山


城山といえば昔 城があった所
こんもり茂ったあの山の
神社の裏に書いてある

マンションと工場と団地に
囲まれ育った僕らは
こんもり茂ったあの山から
町を見おろして汗を拭いた

一国一城の主が417人
この春あの山に一度にやってくる

富士山が望める高台という
謳い文句を掲げるけれど
この町の空は冬の他には
ぼんやり曇っているのに

あの山の主は昔 たった一人だったのだろう
志村城という城からのぞむ
この町はどんな村だったのか

一国一城の主が417人
この春あの山に攻め込んでくる

ヴィオスガーデン城山
広いバルコニーにカウンターキッチン
ミニ映画館もあります
最寄りの駅まで徒歩二分

一国一城の主が417人
この春あの山に攻め込んでくる

言葉遊戯白書


現実は決して甘くないとは
良く言ったものだ それじゃ
辛いのかしょっぱいのかすっぱいのか
はっきりさせよう。もしかして まずいのかな?

今日日 言葉は凶器のごとく
今日日 台詞が引き金になる
自己責任などとれません

人権は決して侵せないとは
良く言ったものだ それは
強いのか弱いのか 女なのか
はっきりさせてくれ。もしかして 男なのかな?

今日日 自由は空気の如く
今日日 思想は日替わりになる
自己主義主張は ありません。

大人しく真面目な彼が何故とは良く言ったものだ
それは病気なのか正気なのか狂気なのか
はっきりさせてみよう もしかして 子供なのかな

今日日 言葉は標語の如く
今日日 台詞がその気にさせる
自己批判なんて出来ません

感動をどうもありがとうとは良く言ったものだ
それは誰に向け誰のために言ってるのか
はっきりさせてみよう もしかして テレビ向けかな

春が君を洗う


うつむいて歩くから
日に当たらないんだよ
大嫌いな冬の間に
君はくすんでしまったように見える
でも大丈夫
春が君を洗う

笑わない日々なんて
あまり価値がないんだよ
大好きだから泥つけあった
僕を忘れてしまうことも出来る
そう大丈夫
春が君を笑う

夏の好きな君には
冬が好きな僕はいらない
目新しい運や出会いは
いつも約束されてはいないけれど
もう大丈夫
春が君を洗う
春が君を笑う
春に君は笑う

Information

型番:PMCD-IF13
発売:2002年 06月
価格:¥2,200

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2002年4月14日当時の言

2002年4月14日より、販売中

ジャケット デザインはTOMO工房さま

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